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社長コラム
Vol.6
コーヒー挽き売り懇親会レポート
定かではないが自家焙煎店が全国で3,000店を超える今、その数は増加の一途である。現在も続くカフェやコーヒーブームは、既に多くの新規参入者を送り出し、また参入予備軍を生み出している。昔から手に職と言えば、鳶や大工の職人に調理師や理美容師という仕事を指すが、景気に左右されない安定した仕事とされてきた。コーヒー焙煎も調理や製パン・製菓と同じく、手に職の仲間入りを果たしたのかも知れない。そういえば最近は焙煎職人という称号を多くのホームページで見かける。コーヒー商工組合連合会のコーヒー鑑定士と、日本スペシャリティコーヒー協会のコーヒーマイスターは、まさに職人(マイスター)資格を実技と学科で検定し認証するものである。しかし焙煎という職人仕事では、まだ資格認定の道が見えていない。唯一の評価はお店の評判であり、顧客の支持なのだが、それとて今の市場では絶対的な価値基準とは言い難い。然るべき公的な認定がないのであれば、焙煎職人が自ら情報を集め、常に技術を磨く努力を重ねることが必要だろう。こうした集まりやグループはたくさんあるが、6月に行われたコーヒー挽売懇親会を紹介してみたい。

第9回の本年は東京渋谷のダブルトールカフェを会場に、全国から18名が集合した。自家焙煎珈琲店でもここ数年、エスプレッソ系のバリエーションコーヒーが普及し、どの店も本格的なエスプレッソマシーンを据えるようになった。当初は初期費用の点でシングルを導入したが、1年も経たずに2グループにチェンジした店もある。それほどエスプレッソ系のメニューは人気が高い。そこで今回のテーマは「シアトルと自家焙煎のエスプレッソを味わう」となった。ダブルトールカフェで使うシアトル・D'arteのブレンド3種と、各店の自家焙煎の豆を比べて自ら検証しようという試みである。D'arte3種と参加者が持ち寄った豆で、エスプレッソとラテを試飲するのだが、ダブルトールカフェのバリスタの技術はとても高い。豆を見てミルとマシーンを調整しながらスピーディーに次々と抽出する。その上、ラテはリーフやハートのアートまで描いてくれる。具体的な評価は各参加者の経験として今後に生かされるものだが、エスプレッソへの取組みがより確かなものになることは間違いないだろう。

この挽売懇親会は毎年6月に開催されているが、経験豊かな方からこれから開業を目指す方まで、幅広いメンバーが集まり、そのほとんどが自家焙煎の挽売店と珈琲専門店のオーナーである。持ち寄った豆の試飲を重ねてゆく中で、焙煎のプロセスを確認したり、温度や時間を質問したりといつも大変熱心である。カップが進むにつれて農園の話や焙煎のアイデアなどの話題が沸騰する。この秋に焙煎店を開業する方には、願ってもない機会となったようだ。自分の焙煎に自信が持てないビギナーは、お客様の反応を頼りの味創りになりがちだ。この懇親会はメンバー相互の対等関係から成り立っており、請われた商品の融通はあるものの、商品情報や技術情報の交流が目的である。ベテランもビギナーも真剣にコーヒーとの取組みを続けることが唯一の参加資格となっている。