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社長コラム
Vol.14
カップスリーブの開発(中編)
   ハードスリーブの項で書き忘れたことがあります。カフェグッズのハードスリーブと同じ差し込み方式のスリーブが米国にもありました。上がJAVA JACKET、中がECO-CLUTCHという商品名です。JAVA JACKETは1991年にJay Sorensenによって創業されています。地元のコーヒーショップで買ったコーヒーカップがとても熱くて持てなかった経験から、開発したというもの。この会社だけで現在、年間40億枚が使われているとのことですが、20年以上も続くスリーブの専業メーカーです。右上のものは両端近くに上方向と下方向の切り込みがあり、それを組むというシンプルなスリーブですが、数少ない8オンス用です。ECO-CLUTCHはフードサービス向けの紙容器メーカーであるLBP Manufacturing, Inc. の商品です。Eco-Clutchの他にもCoffee-Clutch、The Sleeve、Wave Sleeveなどのブランドを1社で持っています。そしてその総称をHOT CUP SLEEVEとしています。中央のスリーブも両端に切り込みを入れたスリーブですが、切り込みの先端を開いて組みやすい形状になっています。サイズはLで12-16オンス用です。差し込み式ですからちょっと考えれば兼用に出来た(?)はずですが、それぞれサイズ固定のスリーブです。最近では両社とも貼り合わせたスリーブが中心ですが、現場の作業性が優先されてのことでしょうか。一番下のカフェグッズのハードスリーブは上2つと比べて独創的な形状に仕上がっていると思います。
   もう少しカップスリーブを辿ってみましょう。2000年頃の米国のカフェ・コーヒーショップでは、カップスリーブが末端まで浸透していました。当時の視察でも実に多くのスリーブを目にしましたし手にもしました。その多くが貼り合せタイプでしたが、ほとんどLサイズしか使われていません。調べてみると、S(8オンス)サイズがメニューに無いか、極めて出数が少ないためにここだけはダブルカップで対応している例がありました。こうすればLサイズ用のスリーブ1点で済みます。当然2種類のスリーブを持つよりも効率的なオペレーションになりますし、何よりもお客様にも解りやすい。
当時はドリップコーヒーやフレーバーコーヒーをデカンタでズラリと並べてご自由にどうぞ、というスタイルも、グロッサリー店やデリカテッセンなどで見かけました。こうなるとスリーブが活躍するのですが、中にはEPS(発泡スチロール)カップと割り切っているオーナーも居ます。日本では見かけないEPSカップですが、米国では未だ現役です。
   そう考えていた矢先に衝撃的なスリーブに遭遇しました。アメリカで使われていたスリーブを友人のH氏からお土産にいただいたのです。それはフルカラー印刷を施したサンフランシスコのオペラハウスのプロモーションスリーブでした。2001-2002シーズンの5本の公演がフルカラーで刷り込まれたスリーブに、その時の私は驚きを隠せませんでした。スリーブの用途としてこれは有りだという認識はありましたが、ここまで進化していることに衝撃を受けたのです。
どうしてどうして、やはり恐るべしは消費大国アメリカです。
これはどうしてもフルカラー印刷が可能な原紙を開発しなければならない、という思いが沸いてきました。

   2003年に創業したカフェグッズで、私はもう一つの懸案であるスリーブの開発に着手しました。その最大の目的はホットカップとコールドカップに兼用することでした。熱さに耐えるためのスリーブは現行の片段ボール原紙で充分なのですが、コールドカップの表面結露を吸収させるには耐水強度が足りません。芯部は水で溶け落ちるし、表面ライナーも水分を吸うと破れてしまって持てません。この対策にはペーパーコースターの材質に狙いを付けていました。パルプ紙です。バージンパルプは繊維が長くまた複雑に絡み合いますので吸水性が高いのです。但し吸水性が良くても断熱性がなければスリーブとしては使えません。その点を調べると既存のコースター原紙では紙厚が薄いと断熱性が足りずに、持つと我慢できないくらい熱い。水と戦う前に熱さを何とかしなければなりません。それではとコースター原紙を厚くしていくと、堅くてカップに巻けません。パキッ!と折れることもあります。ここに行き着いて、一つの解決法と考えていた紙の厚みに頼れなくなりました。またしても難題の登場です。
   結露対策を放棄すれば商品化は簡単なのですが、世界初?とも思われる吸水タイプのスリーブへの拘りはますます高まりました。大手コーヒーチェーンは外資企業や国内企業など、沢山ありますが、コールドカップに巻くスリーブのある店舗を見たことがありません。海外視察でも知る限りありませんでした。それはあるカフェの店頭で、コールドカップにハンカチを巻いていた女性を見かけたことが発端でした。その後彼女はそのハンカチをどうしたのか、ずっと気になっています。
2012/12/17
カフェグッズ代表
小林 文夫
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