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社長コラム
Vol.17
Vol.17 TOKUSHIMA COFFEE WORKS 再訪
懐かしのProbatに出会う旅
 それは8年ぶりの再会だった。2006年7月にサザコーヒーの鈴木会長に夕食をお誘いいただいてひたちなかを訪ね、翌日挨拶を終えてから猛然と車を走らせた。目的地は郡山のDACコーヒーさん(以下敬称略)である。白戸社長からProbatを手放したいとのお話を伺ったのが一月ほど前になる。コーヒーの焙煎機、世界のProbatである。DACコーヒーは焙煎業者として長い経験を有し、福島県中部をテリトリーとするコーヒーの焙煎業者である。焙煎業者でありながら、コーヒー以外の食材はほとんど扱わない。そのコーヒーは伺うようになってから数年を経た私が、行けば必ず買い求めるほどの品質であり、それがProbatから生み出されていることを聞いていた。この焙煎機を苦労の末に入手した時の高なる喜びを、直接お聞きしたこともあった。また当時はコーヒーについての知識が乏しく、素人同然の私に、長い時間お付き合いいただき、いろいろ教えていただいたことも懐かしい。
Probat
白戸社長にお会いすることは私の楽しみとなっていた。
 DACコーヒーの卸先は地域柄ホテルや温泉旅館などが多く、レジャー動向の変化や、長引く不況のあおりで閉店や廃業する顧客が多いという状況であった。そこに本社周辺の大規模な開発計画が始まり、業務用市場の先細りや家庭用市場の拡大模様を受けたチャレンジが始まる。移転と同時に直営のカフェを立ち上げて、コーヒー豆の小売販売に力を注いだのである。工場にはProbatとF-Royalの2台の焙煎機が設置されており、豆売りにも斬新なスタイルが際立っていた。
 コーヒーに拘りを持つ白戸社長には当然Probat焙煎機に一方ならぬ想いがある。それを手放すということは余程の選択をされたのだと直ぐに理解できた。その決断がゆるぎないものであれば何かお手伝いできることはないか、と思っての郡山行きだったのである。私が声を掛けたのが、徳島の小原博氏と金沢の西岡憲造氏で、サザコーヒーさんにもご一緒いただいた、今この車に同乗しているお二人である。もうかれこれ10年近いお付き合いのある二人だが、今回は特別な任務を携えての旅となった。それがProbatの引き継ぎというテーマであり、何とか無事に交渉を成立させていただきたいと心から願っていた。幸いに白戸社長と小原氏の間で交渉が成立し、このProbat-UG22は徳島に旅立った。その後8年余り、ようやく今回再会を果たすことが出来たのである。今でも小原氏のTOKUSHIMA COFFEE WORKSでは、嬉しいことに「小林さんのProbat」と呼んでいただいている。
 カフェグッズでは毎年のように海外視察を行っているが、ヨーロッパでもアメリカでもオーストラリアでも、Probatで焙煎している現場を幾度となく目にしてきた。新しくても古くてもまずはProbatであり、特にヴィンテージともなれば世界中から引く手数多の状態なのだ。DACコーヒーからTOKUSHIMA COFFEE WORKSへという一期一会の中で、そのシーンに立ち会えたことに素直に感謝したい。そしてこれからも人々の喜びを価値として生み続けて欲しいと思っている。
COFFEEWORKS
SWEETSWORKS  昨年の金沢行きも6月だったが、天候不順で搭乗便がだいぶ遅れた。そして今回の徳島行きもやはり天候には恵まれず、航空会社のトラブルもあって大幅に遅れることとなった。梅雨時なので雨は覚悟の上だが、2年続くと自分の運が特別悪いような気になる。ほとほと疲れて徳島空港に着いたのが18時過ぎで、なんと4時間近くの遅れであった。しかし来られたのだからまだマシとも言える。前後の便は欠航していたし、羽田の搭乗口ではツアー客が乗継便の欠航で混乱を極めていた。

 翌日は雨の中を小原氏の案内で店舗巡りをさせていただいた。COFFEE WORKS このぶ店、SWEETS WORKS、COFFEE WORKS山城店の順である。
 このぶ店は平成22年(2010)に創業の地の阿南市に開店した。小原氏の創業は昭和53年(1978)で、阿南市に開店したビストロ「ディラン」がスタートだった。学生時代から東京で修業した料理の腕を生かした店だが、その後一つの疑問に悩むことになった原点の店である。その悩みがコーヒーだった。当時の飲食業界では、コーヒーは焙煎業者から仕入れるものであり、看板に名前を入れたりマシーンを貸与するなどの慣習が当たり前であった。小規模のビストロと焙煎業者ではその力関係に抗いようもなく、コーヒーの品質に拘ることが難かしいという壁に直面していた。その時に導き出した答えが自分で珈琲を焙煎することであり、昭和55年(1980)に自家焙煎珈琲「でっち亭」を徳島市千代が丸に開店する。現在のSWEETS WORKSの所在地*である。焙煎は初心者だが、誠心誠意努力を尽くすという意味で名付けた店名である。そのころのマッチには「品質本位、勉強」などと丁稚修行の心得が刷られていた。徳島では多分初めての自家焙煎珈琲の看板である。
心得通りの努力を重ねた10年後の平成2年(1990)には現在の旗艦店である山城店を開店している。以降は徳島に「珈琲美学」ありとの評価を得ているのである。そして平成22年(2010)に屋号をCOFFEE WORKSに変更する。この件は2011年のコラム№8に書かせていただいたのでここでは言及しない。こうした経緯を知る者として、小原博氏からTOKUSHIMA COFFEE WORKS のあれこれを直接見聞きする機会を得られたことで、今回はとても有意義な旅となった。

*SWEETS WORKSは2014年7月8日(火曜日)から、下記に移転します
「 SWEETS WORKS エクレール 」 徳島市山城西3 -1 Tel. 088-678-2278
2014/6
カフェグッズ代表
小林 文夫
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