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カフェレポート
BAR PASSEGGIATA

「BAR PASSEGGIATA」
鳥取県米子市東倉吉町68
TEL:0859-21-0440
http://www.caffe-vita.com/
イタリアンバールのバール パッセジャータを訪問したのは、オープン1年の開店記念日を数日過ぎた頃だった。パッセジャータとはイタリア語で散歩やハイキングという意味だそうだ。気軽にお出かけいただきたいというオーナーバリスタである野島氏の命名である。ここで野島氏の略歴を振り返ると、地元企業オールドニューが経営するカフェジャルディーノで経験を積んだ後、東京のカフェやホテルで修行している。中でも有名な「LoSPAZIO」のオーナーバリスタ野崎晴弘氏の下での修行で、バリスタとしての腕を磨き、バールの経営ノウハウを学んでいる。そして憧れの地イタリアには何度も視察で訪問し、その際に収集したシュガー袋を、パネルに貼ってお店に飾ってある。その数と種類には驚きを禁じえない。たとえ全土に15万軒のバールがあると判っていても、これだけ回ったのかと敬意を払わずにはいられない。中にはイタリアでメジャーなブランドもあるが、多分1店だけのバールもたくさんあるのだろう。それにしても日本ではシュガーのオリジナルを個店で作るのはハードルが高い。豊かさを求めるといつも何かが足りない。
イタリアンバールというのは頭では理解できているのだが、店の形態としてシアトル系との違いがよく判らない。シアトル系の多くのインデペンデントカフェはコーヒー特化型で、調理を要するフードメニューはない。しかしイタリアンバールはランチにはパスタがあるし、ディナーも提供している。そしてアルコールもワインやビールやグラッパなどが揃う。もちろんモーニングもあり、パニーノとカプチーノの組み合わせなどが人気だ。コーヒーについてはエスプレッソとそのバリエーションが中心で、それはシアトル系も同じだ。何が違い何が同じかと考えると、ひとつの仮説に至った。イタリアンバールは客のニーズのすべからくに対応していて、昼下がりのエスプレッソだけでも、食事の利用でも、朝から晩までいつでも利用できる。イタリアでは馴染みのバールを持つのが大人で、それをMIO BAR(ミオバール)などといって日に何度も通う。ちょっとした合間にバールに寄り、挨拶を交わしながらエスプレッソを引っ掛けて店を出る。これにはバンコといわれるカウンターが便利で、しかも安い。ホールに着席した場合の半額くらいの価格だから何度でも通える。自宅付近、通勤途上、職場回りなどと数えるとだいたい5~6店の馴染みをもつのが普通のようだ。こうした役割をみると、日本ではシアトル系ではなく、缶コーヒーがその役割を果しているように思える。
ここパッセジャータにもバンコがある。カウンター周りの立ち飲みだが壁際にベンチもある。実はこのカウンターが苦心の成果なのである。視察先のバールでカウンターの高さと幅を何度も測り、その結果から導き出したカウンターなのだ。

テイクアウトにも対応
もしバンコが日本のすべてのカフェやバールに設けられ、缶コーヒーと同じような価格で提供されれば、一日に何度も利用することができるかも知れない。これは私論だが、それには1㎏¥2,500の豆を8g使うとして、エスプレッソ1杯の原価が¥20、シュガーその他で約¥30。エスプレッソ1杯を¥150とすると原価率20%になり、無理な計算ではなさそうだ。但し1㎏¥4,000では苦しい。自分勝手な計算をしながら、日本ではコンビニや自販機と缶コーヒーの組み合わせがバールの代役なんだと妙に納得する。コーヒーのためにその役を取り戻さなければならない。その先陣をイタリアンバールのバンコが担う。