TOP > カフェレポートTOP > Vol.21 アンカーコーヒー・バル田中前店
社長コラム

オノデラコーポレーション
「アンカーコーヒー・バル田中前店」

宮城県気仙沼市田中前四丁目2番
http://www.anchor2fullsail.co.jp/

  東日本大震災の苛烈な被災地のひとつである気仙沼を訪問できたのは、2011年も年末の12月27日だった。気仙沼を最初に訪れたのがその年の2月。同じ年の訪問だったのだが、あまりにも異なるその光景は直視できないものだった。カメラを出すことも躊躇われる。そんな思いに気付いていただいたのか、小野寺専務が撮影を促してくれた。しかしカメラを構えても液晶に映る画像を見つめられない。どうにか3枚を写してカメラを置いてしまう。小さなデジカメをこんなに重く感じたことはなかった。

やっとの思いで写した3枚は、瓦礫の撤去が終わった中に取り残された大型漁船「第18共徳丸」の姿と、鹿折唐桑駅前の広場に建つ、唐桑半島の折石のモニュメントの焼けただれた姿だった。なぜか2匹のカモメは今も美しい姿で飛んでいるのだが、その奧に有るはずの駅舎は解体されて既に無く、ホームに上がる階段と数脚のベンチがここに駅があったことを伝えているのも辛い光景だった。
東日本大震災から9ケ月経った12月に、復興のシンボルとしてここ気仙沼にも仮設商店街がいくつか建てられた。
その1棟である福幸小町田中通りに12月23日、アンカーコーヒー・バル田中前店がオープンした。今回はその店舗の視察と応援の言葉を伝えたいと考えての訪問だった。
場所は気仙沼市田中前4丁目。総2階建てのプレハブ建屋に10戸の飲食店が入居している。バルと付けたのは、18時以降の営業形態が少し替わり、アルコール類とおつまみがメニューに揃っている。もちろんコーヒーは全時間で提供する。暫く見ていて気付いたことだが、アンカーコーヒー・バル田中前店はコーヒーのテイクアウトがとても多い。それも両手に手提袋を提げて持ち帰るお客様が珍しくないのだ。港町にはコーヒーが似合うのだろうか。シアトルやポートランドがそうだし、日本でも港町神戸がその代表格だ。
もともと気仙沼市街地に焙煎工房と製菓工房があったが大津波に襲われて全壊した。私が大きなショックを受けたのは、まさに津波が来襲したときの画像と波が退いた跡の画像を、アンカーコーヒーのホームページで見た瞬間だった。アンカーカラーの深紅の建物が津波でずれ動き、下にオレンジ鮮やかなデートリッヒ焙煎機が横倒しで泥に塗れている。コーヒー焙煎人であれば誰もが大切に磨き上げている、焙煎機のこうした姿の痛ましさ。隣接するオノコービルの壁面にはハッキリと津波の到達ラインが残っている。こうした被害を受け止めながら、小野寺専務以下全員の頑張りで市外の3店舗を守り抜き、遂にはその年に新しい店舗を出店するまでに漕ぎ着けた。これは被災された市民を支えたい、コーヒー1杯の勇気を届けたいとの一念だった。実はその前日には仙台市一番町商店街に、フルセールコーヒーFC一番町店をオープンしている。こうして躍動始めたアンカーコーヒーを全面的に支えたのが、セキュリテ被災地応援ファンドを通じて募集された、全国の市民からの投資による支援だった。
東日本大震災の広範な被災地では、予算化された国の復興支援が草の根まで届いていない。第2第3のアンカーコーヒーの登場が待たれる多くの被災地から、決して目を離したり、背けたりしてはならないのだ。
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