TOP > カフェレポートTOP > Vol.27 金澤屋珈琲店本店(前編)
社長コラム

「金澤屋珈琲店本店(前編)」
〒921-8052金沢市丸の内5-26
TEL:076-254-5411
http://www.krf.co.jp/
カウンターではスタッフの手による山野草が迎える
カウンターではスタッフの手による山野草が迎える
業務用の挽き売り器具と店用の地元作家の器が並ぶ
業務用の挽き売り器具と店用の地元作家の器が並ぶ
 
和が導きいれるファザード 張り出しのテラスと2階の格子窓は光がもれる
和が導きいれるファザード      張り出しのテラスと2階の格子窓は光がもれる
   石川県金沢市は加賀百万石の城下町として発展した町だ。その時代、徳川家を除けば、百万石の禄高を有する大名は他にはない。加賀金沢藩前田家の禄高は103万石、外様大名として稀有の規模だった。驚くのは徳川御三家の水戸藩350,000石、尾張藩619,000石、紀州和歌山藩555,000石であり、加賀金沢藩は概ねその2倍から3倍の禄高である。その居城が金沢城で、広大な城址と櫓門などが今に残っている。日本三大名園として有名な兼六園は金沢城公園に隣接する金沢藩前田家の大名庭園になる。ともに金沢市の重要な観光資産であり、市民の憩いの場所でもある。その金沢城黒門口の傍に昨年2012年4月、金澤屋珈琲店本店がオープンした。門から出ると最初の建物となり、城址や兼六園などの文化を受け止めた和風二階建ての建築である。珈琲店が建物自慢をしても始まらないが、実は金沢市も認める建築物で、「平成24年度 金沢 都市美文化賞」を受賞している。諸外国の観光客も多く訪れる日本の珈琲店だ。
珈琲豆はバルブ付の鮮度保持バッグで陳列
珈琲豆はバルブ付の鮮度保持バッグで陳列
平成24年金沢都市美文化賞の賞状額
平成24年金沢都市美文化賞の賞状額
オーナーの西岡氏と徳島C-Worksの小原氏
オーナーの西岡氏と徳島C-Worksの小原氏
店内にはスタッフ心尽くしの花が飾られている 地元作家の作品が並ぶ棚 ガラスケースにドリップ器具が並ぶ
   実際に中に入ると判るのだが、金沢城公園の隣という場所を最大限に生かした借景は、息を飲むほどに美しい。特に二階に上がると、客室の窓に生える緑がこの時期ならではの色合いに染まっている。その緑を切る紅柄格子の赤。この二階ではすべての窓に緑が萌え、それを紅柄格子が引き立てる。初めから計算されたかのような構成に心底から感服してしまう。これがあのイエロービーンズショップと言われるキャラバンサライの別業態店なのだから、驚きとともにデカシタと思う。それは西岡社長が長年温めてきたネルドリップコーヒーへの挑戦とも言えるのだが、さらに大きな動機は金沢へ来てから30年余りとなる彼の、地元金沢への感謝に他ならない。城下町にはどこも、時として排他的な印象を受けることがあるものだが、金沢でもそうした雰囲気が心象の淵々に見え隠れする瞬間がある。だからと言って責める訳ではないが、地元金沢への思いを誰よりも強く、深く思いながら歩んだ30余年を誰が軽視できようか。まして金澤人以上に金沢を愛する心から生まれた金澤屋珈琲店本店の佇まいは、平成24年の「金沢 都市美 文化賞」として公に評価されたのだ。
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